祗是未在

ソゾタケの仏像日記

五大堂(宮城県宮城郡松島町)

      2014/02/14

友人の結婚式に出席するために仙台を訪れた。式当日の午前中は予定がないので、松島まで行ってくることにした。

仙台駅の仙石線ホームは地下鉄と相互乗り入れになっていて、全くもって地下鉄の駅だった。昔はかなり離れた所にホームがある地上駅だったと思うが、仙石線を利用する方にとってはかなり便利になったのではないだろうか。

しばらく地下を進み、陸前原ノ町を過ぎると地上に出る。そして、中野栄を過ぎると、仙台東自動車道の下をくぐる。ここからは昨年3月の東日本大震災で津波の被害を受けた地域になる。

昨年6月頭に私は出張で多賀城市を訪れているが、仙台港周辺の何もなくなってしまった状態や、予想以上にうず高くつまれた瓦礫を目の当たりにした。電気もまだ通っていない状態だった。そして出張先の地元の方から、被害の大きかった七ヶ浜へ行って、ぜひ実際に見てきてほしいと言われた。

七ヶ浜の惨状には言葉もなかった。津波から3ヶ月が経ち瓦礫も整理されてきていたとは思うが、まだまだ手付かずの状態だった。家は根こそぎなくなり、砂地故に地面が流れ、基礎部分から回転してしまっていた。あちこちに車が逆さまになっていたり半分突き刺さっていたりした。防波堤や手すりは無残に破壊され、浜辺には仙台港から流されてきたとみえるコンテナがいたるところに散乱しているという状態だった。言葉にして並べるのが難しい状態だった。

仙石線からはそのあたりは見えないが、震災から1年経った今は、またきっといろいろ変わってきていることだろうか。

 

海岸線をトンネルとカーブで超えつつ40分ほどで松島海岸駅についた。

松島海岸駅

ホームは高台にあり海がよく見える。駅前に出ると、ほとんど人もいない寂しい状態であった。数名の観光客らしき人たちも、バラバラと思い思いに消えていった。

道を渡った向かい側の公園から海を眺める。

松島海岸駅近くの海岸

よく見ると、防波堤には津波の爪あとがある。宮城県のほとんどの海岸線が津波の甚大な被害を受けた中にあって、松島は大きな被害がなかったという。不思議なものだ。

後で瑞巌寺の方に聞いたところでは、このあたりの海沿いは70cmくらいの浸水だったそうだ。普段そんなことは起きないことからすれば尋常ではないものの、全体からすれば奇跡的な範囲で済んだと言えるのかもしれない。

この公園からは左手に五大堂が見える。

公園から見える五大堂

ここからは観瀾亭(かんらんてい)のすぐ下を海岸沿いに回って行ける遊歩道があったようだが、津波に破壊されてしまって通行止めになっていて残念だ。

やむなく道沿いに歩く。

観瀾亭の庭園の裏側にあたる部分であろうが、こんな様子を道から見ることができる。力量にあふれていて素晴らしい。観瀾亭の樹木

観瀾亭とは、もとは伏見城の一棟であったというが、伊達政宗が秀吉より下賜され、江戸藩邸に移築していたものをさらに仙台藩二代藩主の伊達忠宗がここに移築したという。今日は時間がないが、次回はぜひ内部を拝見したいものである。

松島町による観瀾亭の紹介サイト

観瀾亭の門前を過ぎ、駅からは10分ほどの距離で瑞巌寺の前に出る。

瑞巌寺前の道

とりあえずは一旦瑞巌寺の前を通過して五大堂へ向かう。

瑞巌寺前の海岸沿いは公園になっている。そこからは間近に五大堂を見る事ができる。

瑞巌寺前からの五大堂

五大堂は陸地に近いところにある小さな島に建てられている。

現在は瑞巌寺の所属となっているが、もともとは坂上田村麻呂毘沙門堂を建てたのが発祥だという。その後、慈覚大師円仁が一堂を建立して五大明王を安置したことから五大堂と呼ばれるようになったそうだ。現在の建物は、菩提寺が瑞巌寺である伊達政宗によって建てられた。

私は五大堂という名前は、5つのお堂のことなのかと勝手に思い、このお堂はそのうちの一つなのかと思っていたが、五大明王だから五大堂とは今回初めて知った。お恥ずかしいことである。

瑞巌寺前を東に100mほど行った所に五大堂への入り口がある。

五大堂入口

 

このお堂へ行くには、私にとってはちょっと勇気が必要だ。

 

島へ渡る小さな2つの橋があるのだが、この橋、その名を「透かし橋」という。

透かし橋

読んで字の如く、橋桁と橋桁の間を開けて直下の海面が見えるようになっており、縦に渡された2つの細い道を渡っていく形になっている。五大堂へ向かう時に気を引き締めるためにこうしているそうだが、高所恐怖症の私にはまさしく身の引き締まる思いだった。

透かし橋

 

五大堂 木造 安土桃山時代 重要文化財

五大堂

軒の張り出しが大きくとても立派だ。海に面していることもあってか、木の劣化なのか色が白く見える。

五大堂には、現在も平安時代中期の作である五代明王像が安置されているが、こちらは33年に1回の開扉となっている。

堂々たる木組み、四方3箇所ずつに方位に合わせた十二支の彫刻が蟇股に施されているなど、並々ならない造形であることがわかる。

なかなか堂々としていていいお堂だ。武家らしい重々しい風格を感じる。

 

ここからも日本三景の松島の様子が見遙かせる。

五大堂からの松島

ゆったりとした海に島が点在していて、なんというか、のびやかで美しい眺めだ。宮城の海は津波のせいで怖さや悲しさのイメージができてしまった感があるが、そんなことを微塵も感じさせないこの風景を見ていると、なんだか穏やかな気持になった。

 

再び透かし橋をビクビクしながら渡って戻り、道を隔てた反対側にある瑞巌寺へと向かった。

 

【五大堂

住所:宮城県宮城郡松島町松島字町内111 GoogleMapsで見る
電話:022-354-2618 (松島観光協会)
時間:8:30~17:00頃(日没)
料金:無料
交通
・JR仙石線 松島海岸駅下車 徒歩10分
・JR東北本線 松島駅下車 徒歩20分

駐車場:寺院の駐車場はないが、周辺には有料駐車場がある(60分300円程度)

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 - 建築, 宮城県

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