祗是未在

ソゾタケの仏像日記

大江戸見仏オフ(品川区、大田区、目黒区)

      2014/03/04

SNSの仏像コミュニティ(mixiのSexy仏像コミュ)の見仏オフ会が新年早々催され、当日は40名近い人数が集まった。このコミュニティの存在は知っていたものの、今回初参加の私としては、参加者の多さに驚いた。

JR西大井駅前で集合して、まずは歩いて10分ほどの養玉院如来寺(大田区)へ。

五智如来石柱

こちらには五智如来像があるという。それも、なんと5体とも丈六であるというから驚きだ。

五智如来を収める仏殿・瑞応殿もかなりのキングサイズ。何だか中国の寺院のようだ。

瑞応殿

中に入ると、赤い丈六5体がずらりと横並びで圧倒的!

五智如来像(江戸時代)寄木造 像高約3m 品川区指定文化財

五智如来坐像

長野県の伊那谷で作られた5体は天竜川を船で運ばれ、海に出て船を替えて海運で品川の湊まで運びこまれたという。最初は如来寺の「高輪の大仏」として知られたというが、その後、養玉院と合併してこちらに移られたそうだ。現在では「大井の大仏(おおぼとけ)」とも呼ばれる。

五智如来像パノラマ

現在では5体のうち4体はその当時のものではなく、薬師如来だけが造形的にも違うということもあって当時のものと推測されている。他の4体も、このサイズで再度作ったというのがまたすごい。

薬師如来坐像

薬師如来坐像

 

五智如来の前には、地震の影響か灯籠が落ちてしまっている龍灯鬼・天灯鬼と、こちらの聖観音立像もいた。一瞬塑像かと思ったが、よく見たら銅像仏のようである。

聖観音菩薩

主催者のyo-kkunは普通の人にはない交渉力をもっているようで、普段は開けないという不動明王像を特別にご開帳してくださったりもした。他のお寺でもその”霊力”の凄さを実感することになる。

不動明王および二童子像

制多迦童子がなかなかクール。

制多迦童子

 

続いて、養玉院から20分ほど歩いた長遠寺(大田区)へ。

長遠寺

こちらには将軍家光が崇敬したという鎌作観世音(大田区指定文化財)が収められており、通常は非公開であるがこちらも特別にご開帳いただいた。

もともとは上大崎六軒茶屋光雲寺の本尊であったという。鎌で作ったと言われるだけあって地肌が荒れた雰囲気だが、実際に鎌で作ったということではなく、おそらく火災に遭っているのだろうと思われた。現状は腕が6本あり、本来は千手観音であったのではと思われる。顔はえらの張った四角い顔で、わずかに残る目や鼻の凹凸から、穏やかな雰囲気の表情が感じられた。

鎌作観音説明板

鎌作観音説明板

 

また、この鎌作観音を収めた厨子(江戸時代)が見事だった。特に、足元の四天王像はミニチュアサイズながらかなり精緻な造形で目を瞠った。

 

馬込駅から地下鉄に乗って五反田へ。駅から5分ほど歩いたところにある宝塔寺(品川区)へ。

ビルに囲まれたお寺だが、見事な赤松が枝をくねらせた境内は落ち着いた雰囲気がある。

宝塔寺のアカマツ

 

聖観音菩薩立像(平安末期?鎌倉時代?)一木割矧造 像高84.1cm 品川区指定文化財

聖観音菩薩立像

大正15年に多摩川沿いの寺から流出した後、巡り巡ってこのお寺に持ち込まれたという謎めいた仏像である。

同行の藤川学芸員の見立てでは、おそらく平安末期〜鎌倉時代頃に作られた古仏の模作ではないか、ということだ。確かに法隆寺にある南梁様式のあの独特な雰囲気の仏像にかなり似ている。前にぶらさがっている玉のような(茄子?)造形は江戸時代などにつけられたのでは、ということだった。

聖観音菩薩脚部

かなり補修が入っているようで、顔の部分がすり減っているのか盛られているのかわからないが、いまひとつ表情がつかみにくい。とはいえ、何とも言えず美しい、雰囲気のある仏像であった。

聖観音菩薩近影

 

お昼を食べてから、池上線に乗って御嶽山で降り、歩いて沼辺駅近くの密蔵院(大田区)へ。

大青面金剛尊立像(江戸時代 元禄7年)寄木造 玉眼 像高91cm 大田区指定文化財

青面金剛像

こちらも秘仏であるが拝観させていただく。昔から「沼辺の庚申さん」として名高いという。

いただいたリーフレットに載っている写真とは大きく違ってきれいになっており、近年に大補修を加えたことがわかる(平成18年修復)。二童子に四夜叉を従えた、なかなか堂々たる青面金剛だった。

青面金剛近影

踏んでいるのは「犬タイプ邪鬼」である。何ともかわいい。

青面金剛邪鬼

本堂にも入らせていただいた。

本尊 大日如来坐像(江戸時代 寛永11年)寄木造 玉眼 像高26cm

大日如来坐像

智拳印の握りが小さくて何だかかわいい。

この他にも、松本明慶師作の不動明王像なども拝観させていただいた。

 

最後に学芸大学駅から歩いて20分ほどの圓融寺(目黒区)へ。

こちらは黒仁王(江戸時代)が有名だ。

黒仁王(阿形)

黒仁王(阿形)

 

なかなかのプロポーションで大きく、筋骨隆々としてゴツい。この仁王の御利益を求めて、江戸時代はこの門から品川湊まで行列ができたという。

かつて、この門周辺で映画の撮影をしたとき、ガラスに光が反射してしまうということで、見えないように布を貼ったところ、次々とスタッフが足を骨折したりケガが相次いだという。見た目通り、非常に強いパワーを持った仁王さんなのだ。

 

黒仁王(吽形)

黒仁王(吽形)

 

かつての本堂である釈迦堂にも入れていただいた。この建物自体が国指定重要文化財である。

釈迦堂と境内

釈迦堂と夕闇迫る境内

 

釈迦三尊像(江戸時代)

釈迦三尊像

小さいながらもなかなか堂々とした三尊像である。釈迦如来の台座が高い。

釈迦三尊像

 

釈迦如来の光背の飛天がなかなかいい。天使の輪みたいなのをつけているのが変わっている。

釈迦如来光背飛天

釈迦三尊像の左奥には宝生如来坐像(江戸時代)

宝生如来

こちらの光背の飛天もかなり見事であった。

宝生如来飛天

宝生如来飛天

宝生如来飛天

宝生如来飛天

 

脇をかためる金剛力士がまた”癒やし系”でいい味を出していた。

金剛力士像

 

以上で見仏オフは無事に終了!素晴らしく充実した1日だった。

東京というと江戸時代からの文化、というイメージであるし、空襲で焼けてしまったりして都心にはなかなかいい仏像はないイメージだったが、なかなかどうして、まだまだ全く知らない興味深い仏像がたくさんあるのであった。

日も落ちて真っ暗になってきた仁王門には照明が点り、霊験あらたかな黒仁王だけがぼうっと浮かび上がっていた。

暗闇に浮かび上がる黒仁王

 

養玉院如来寺(ようぎょくいんにょらいじ)
〒140-0015 東京都品川区西大井5-22-25
TEL:03-3771-4816
アクセス:JR横須賀快速線西大井駅から徒歩10分

【長遠寺(ちょうえんじ)】
〒143-0025 東京都大田区南馬込5-2-10
TEL:03-3771-8490
アクセス:都営地下鉄浅草線馬込駅から徒歩10分

【宝塔寺(ほうとうじ)】
141-0022 品川区東五反田1-2-29
TEL:03-3441-8836
アクセス:五反田駅より徒歩5分

密蔵院(みつぞういん)
〒145-0076 東京都大田区田園調布南24-18
TEL:03-3758-3153
アクセス:東急多摩川線沼辺駅より徒歩3分

圓融寺(えんゆうじ)
〒152-0003 東京都目黒区碑文谷1-22-22
TEL:03-3712-2098
アクセス:東急東横線学芸大学駅/都立大学駅より徒歩18分

 

拝観:養玉院五智如来および圓融寺黒仁王は通常拝観可能。

 

 - 関東地方, 鎌倉時代, 室町時代, 江戸時代, 寄木造, 如来, 菩薩, 天部, 神仏習合, 地方仏, 仏像, 東京都, 23区

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

参道
瑞巌寺(宮城県宮城郡松島町)―全面工事中 特別開帳の正観音立像

五大堂から道を渡り、瑞巌寺の参道へ向かう。 瑞巌寺は伊達政宗の菩提寺として有名で …

不空羂索観音坐像
南円堂特別開扉(奈良県奈良市)―康慶による原点回帰の堂々たる観音

今年の春は奈良がアツい!興福寺がアツい! 普段は1年に1日のみ、10月17日にし …

執金剛神像
東大寺法華堂(奈良県奈良市)—紛う事なき塑像の最高傑作・執金剛神像

良弁(ろうべん・689-773)とは、東大寺の開山として知られる奈良時代の高僧で …

放光寺天弓愛染
山梨県立博物館(山梨県笛吹市)―「山梨の名宝」展

東京も多摩地区に住んでいると、山梨県は近い。渋滞さえなければ車でも電車でも1時間 …

明王院境内
明王院(神奈川県鎌倉市)― 納め不動2013

毎月28日というのは不動明王の縁日だ。他にも観音菩薩は18日、薬師如来は8日、閻 …

如意輪観音やや左前から
方外院(山梨県南巨摩郡身延町)— 謎多き魅力的な如意輪観音

この像はとにかく腕が細く長いのが最もインパクトがある。如意輪観音は密教系の寺院でよく見かけるスタイルと同じであるものの、見慣れた如意輪観音像は、大阪・観心寺像を始めとして、もっとこう、丸っこいふくよかなイメージである。
顔は面長で、頬はふっくらとしている。かなり暗いので肉眼ではなかなかよくわからなかったが、写真に撮って見てみると半眼であることがわかる。頭上の宝髻はかなり簡略化されており、冠を載せるためなのか後補なのかは不明である。唇はやや厚めでキュートな雰囲気が出ている。このあたりは観心寺像に女性を感じるのと同じなのかもしれない。

阿弥陀如来 上半身
安養寺【その2】(東京都日野市)— 藤原期の阿弥陀如来と不思議な大日如来立像

※安養寺【その1】はこちら 新選組の鬼の副長・土方歳三は、私の住む東京都日野市出 …

地蔵菩薩立像と室生寺光背
安産寺(奈良県宇陀市室生区)― 住民とともにある地蔵菩薩の心

奈良の中央の東部あたりの山間のお寺というと、長谷寺と室生寺がセットで紹介されるこ …

大日如来坐像近影
陽徳寺(愛知県犬山市)― 精悍な大日如来

ふとした用事で愛知の実家へ帰省した。 今回は初めて、八王子から名古屋まで、夜行バ …

慈恩寺秘仏展看板
慈恩寺(山形県寒河江市)―可憐な菩薩と個性的で素晴らしい造形の十二神将

4月は興福寺がアツかったが、5月は山形がアツい! なんといっても、山寺(立石寺) …