藤原時代– category –
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智識寺(長野県千曲市)— 素朴ながら霊木そのもののパワー溢れる十一面観音
千曲川は言わずと知れた日本一の川である。 社会科だと「信濃川」という名前で呼ばれるこの川だが、信濃川と名乗るのは新潟県に入ってからであり、当の信濃国の中では千曲川である。名前の通り、クネクネと曲がりながら信濃の深き山を貫き、洪水を引き起こ... -
大法寺(長野県小県郡青木村)—この地の自然とともにある素朴ながらも魅力あふれる十一面観音
塩田平は前エントリで書いたように、独鈷山信仰や塩田庄、頼朝による信濃守護の設置から塩田流北条氏、という経緯を経つつ、非常に高い仏教文化が花開いた土地である。重要文化財や国宝に指定される三重塔がいくつも存在する、というのは限られた地で他に... -
中禅寺(長野県上田市)— 緑に包まれる中部地方最古の御堂に静かに佇む薬師如来と神将像
前エントリで、千曲川流域には「平」と呼ばれる河岸段丘の形成した平地状の地形がいくつもある、ということを書いたが、今回のスタート地である佐久平から北西へ進むと、上田市を中心とする上田平がある。上田平は武田信玄と村上義清が対決した上田原の合... -
福王寺(長野県佐久市)— 災難を乗り越えてきた堂々たる阿弥陀如来と仏たち
長野県は私にとっては縁の深い地である。山と自然を愛する家族に生まれ、愛知県からは行きやすいということもあって、休みというと長野へと旅をしていた。 その後、姉が長野の大学へ進み、私も運転免許は伊那でとり、また、大学の頃は更埴に2か月弱住み込... -
「観音の里の祈りと暮らし展Ⅱ—びわ湖・長浜のホトケたち—」(東京都・東京藝術大学美術館)(後編)
(前編より) 上野・東京藝術大学美術館では、2016年8月7日(日)までの日程で、滋賀県長浜市の「観音の里」から、40体以上もの仏たちが集まった特別展「観音の里の祈りとくらし展Ⅱ—びわ湖・長浜のホトケたち—」が開かれている。 滋賀県は国宝を含む国指定... -
「観音の里の祈りと暮らし展Ⅱ—びわ湖・長浜のホトケたち—」(東京都・東京藝術大学美術館)(前編)
滋賀県は仏像の宝庫であるが、とりわけ「湖北」と呼ばれる琵琶湖の北東地域一帯は「観音の里」という別名があるほど、観音菩薩像をはじめ、数多くの仏像が存在する宝庫である。私はかねてより実家に帰省する度にこの地を訪れていたが、のどかな風景に癒や... -
「祈りの道へ -四国遍路と土佐のほとけ-」展(東京都・多摩美術大学美術館)③
※すべての画像は本特別展監修者より提供を受け、掲載の許可をいただいています。(転載、複製は禁止です) 特別展公式サイト(監修者、学芸員のブログもご覧いただけます) http://www.tamabi.ac.jp/museum/inorinomichihe/ (①、②よりの続... -
合原阿弥陀堂(長野県下條村)— 素朴で穏やかな藤原期の阿弥陀如来
長野県は近畿からすると決して近くはない場所であり、非常に山深く谷も深い。しかし、人の往来、文化の往来、という意味では、かつての信濃の地は現在とは違う。 現在の大動脈は太平洋側の東海道であるが、江戸までの東海道は大河あり海ありの難所続きであ...