一木造– category –
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合原阿弥陀堂(長野県下條村)— 素朴で穏やかな藤原期の阿弥陀如来
長野県は近畿からすると決して近くはない場所であり、非常に山深く谷も深い。しかし、人の往来、文化の往来、という意味では、かつての信濃の地は現在とは違う。 現在の大動脈は太平洋側の東海道であるが、江戸までの東海道は大河あり海ありの難所続きであ... -
佛谷寺(島根県美保関町)— 独特で印象的な「出雲様式」の5体の仏像たち
『出雲国風土記』は非常に興味深い書である。現存する風土記の中では最も完全なものに近いと言われ、数多くの神話が登場する。荒神谷遺跡資料館で販売されていて即座に購入した『解説 出雲国風土記(島根県古代文化センター編)』(今井出版)は素晴らし... -
東高尾観音寺(鳥取県北栄町)【後編】— ひしめく個性豊かな破損仏群
(前編よりの続き) 東高尾観音寺収蔵庫には、全部で45体もの破損仏が並べられていて圧倒されるが、前編でご紹介した印象的で引き込まれる大きな千手観音と、素朴ながらも美しい表情の十一面観音の2体の仏像の他にも、数多くの破損仏が安置されている。今... -
東高尾観音寺(鳥取県北栄町)【前編】— 妖しい魅力の千手観音立像と素朴で美しい十一面観音立像
東高尾観音寺は、大日寺のひとつ峰を越えた北側にある。車なら10分とかからない距離なのであるが、一旦、倉吉の町へと車を走らせる。というのも、ご住職は近年、交通事故に遭い、足を不自由にされたということで、お迎えに行くことになっているのだ。 近く... -
大日寺(鳥取県倉吉市)— 凜々しき阿弥陀如来と衣紋美しき薬師如来
倉吉には多くの素晴らしい仏像が遺されているということは調べていてよくわかったのだが、なぜなのだろう?と思った。その多くは倉吉市の西方にある。今は大山からの裾野の丘陵地帯と、川に沿ったのどかな田園地帯が広がっている風景である。 実はこの地域... -
温泉寺(兵庫県豊岡市)— 優美な平安仏を有するロープウェイと直結した山中の名刹
子どもの頃から18きっぷやフリーきっぷ、周遊券などを使って日本全国に出かけていたのだが、山陰にはあまり訪れていない。おそらく3回ほどしか行ってないのではないだろうか。それも、出雲や境港など、限られたポイントでの周遊をしてきただけだ。 今回は... -
慶田寺(奈良県桜井市)—「いいお顔」の観音像のヒミツ
桜井市の北辺一帯は独特な雰囲気をもった空間だな、と子どものころからこの地を訪れながら感じてきていた。 それもそのはず、この一体は三輪山をシンボルに、纏向(まきむく)遺跡のあったかつての大和朝廷の中心地として比定されている。さらに卑弥呼の墓... -
阿日寺(奈良県香芝市)— 恵心僧都生誕の地に広がる来迎ワールドと独特な魅力を湛える大日如来
恵心僧都・源信といえば、『往生要集』を著したことで知られる。この書は、後に法然や親鸞へと受け継がれ、平安末期からの浄土信仰の広がりへとつながっていくことになる。その源信が生まれたとされているのが阿日寺(あにちじ)である。 考えてみ...