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浄福寺(東京都八王子市)— 衣紋が見事な千手観音
八王子市は面積が広大ということもあってお寺の数も相当なもので、古仏を有しているお寺もたくさんあると思われる。しかし情報は少なく、「東京近郊の仏像めぐり(Gakken Mook)」というムック本を頼りにすることが多い。今回は年に1日のみのご開帳であるこ... -
極楽寺(東京都八王子市)― 微笑んで来迎!歯吹きの阿弥陀如来
多摩地区は戦災などの影響が都心に比べると少なかったことで、多くの仏像が遺っているのだが、八王子市街には空襲があり街は焼けてしまっている。しかし、市街地にある2つの寺院の2体の歴史ある仏像が何とか遺っていることはとても貴重なことであ... -
楽法寺(茨城県桜川市)— 引き込まれる異質な雰囲気の雨引観音
日本には数多くの巡礼というものがあるが、お遍路さんと並んで最も著名なのが百観音巡礼であろう。近畿地方一帯の33カ所(西国三十三観音)、埼玉県の秩父の34か所(秩父三十四観音)、そして関東地方一帯の33カ所(板東三十三観音)と、合わせて100の札所... -
清浄院(茨城県桜川市真壁町)— 3体の印象的な天部像
菊蓮寺から再び南下し、友部ジャンクションで今度は北関東自動車道を西へと走る。このルートは昨年11月に茨城県の五浦美術館へ行ったときの帰りにも通っている。そしてその時と同じように桜川筑西ICで降りた。 今回は南下し、桜川市南部の真壁町へと向かう... -
菊蓮寺(茨城県常陸太田市)— 数奇な運命を辿ってきた5体の仏像
今年の冬は雪の降る日が多く、その量もかなりのものだった。私の住む東京都多摩地区の西部でも、多いときは積雪60cmという状態で、東京に来てからではもちろんのこと、それどころか、愛知にいた頃と比べても最も多かったのではないか、と思う。 そんな大雪... -
普門寺(山梨県山梨市牧丘町)— つるっとした素朴な薬師如来の目の謎
山梨県には素晴らしい仏像がたくさんあるが、山梨の文化財の仏像は、ご開帳日を春に設定しているお寺が多いというイメージがある。今回は毎年3月最終日曜日にご開帳される山梨市牧丘町の普門寺を訪れた。 発達した低気圧と前線が列島通過中ということで雨... -
観音の里の祈りとくらし展 (東京藝術大学大学美術館)
湖北、という言葉を聞くと、いつもほんわか暖かいものが胸に広がる。かつては実家に帰省するたびに車を走らせ、関ヶ原から伊吹山の南麓を通っては湖北へと通っていたものだ。 滋賀県、琵琶湖の北西・湖北の地は「観音の里」と称されるように、平安時代の観... -
方外院(山梨県南巨摩郡身延町)— 謎多き魅力的な如意輪観音
この像はとにかく腕が細く長いのが最もインパクトがある。如意輪観音は密教系の寺院でよく見かけるスタイルと同じであるものの、見慣れた如意輪観音像は、大阪・観心寺像を始めとして、もっとこう、丸っこいふくよかなイメージである。 顔は面長で、頬はふっくらとしている。かなり暗いので肉眼ではなかなかよくわからなかったが、写真に撮って見てみると半眼であることがわかる。頭上の宝髻はかなり簡略化されており、冠を載せるためなのか後補なのかは不明である。唇はやや厚めでキュートな雰囲気が出ている。このあたりは観心寺像に女性を感じるのと同じなのかもしれない。